オケピ! 青山劇場 '00.6.13 (Update '00.6.17)


6月16日付けの朝日新聞夕刊のミュージカル評は「笑い満載 三谷の才気さえる」。
まあ、おおかた他の批評もこんな感じなのでしょうね。
「あの」と言われる程のこのビッグネーム、初ミュージカルの挑戦、
しかも立派な役者揃いでは注目されて当然でございます。
発表直後から方々の媒体に取り上げられ、朝日新聞には舞台裏日記が連載され、
公演開始が近づくとワイドショウ、ニュースショウでもたびたび取り上げられていましたね。
後がコワいから、誰もみんなホメちぎるのかなァ。

演劇・ミュージカルってそんなに観ていないのですが、話題性のあるモノには飛びつくワタクシメ。
行ってまいりました、観てまいりました。で、なんだこれ?って感じなんデス(汗)。

要はミュージカル「ボーイ・ミーツ・ガール」公演のオーケストラピットに集まった指揮者と
12名のミュージシャンが繰り広げる人生賛歌、がメインテーマらしいのですが、
中心は真田広之(指揮)と戸田恵子(コンサートマスター)の元カップルに
松たか子、井原剛志の恋愛関係が介入、川平慈平の松たか子への勝手な恋心も「前向きに消化」され、
「人生の全てはオケピ!にもある」というのが最後のオチなのでした。

布施明など他のミュージシャンのエピソードは全体から見れば話のスパイス、オマケのようなモノで、
実際、いつも段ボール箱に入れたウサギを世話しながらのピアニストとか、
甘いモノを食べると寝てしまうファゴット奏者とか、サブ的なキャラクターは手抜きだと思う。
まあ、テーマは分かるとしても、結局はこの臨時召集的に集まった、穴(オケピのこと)の中の
メンバー内の小さい小世話的な世界の狭いオハナシで、良くも悪くもこの枠組みを超えて、
自分に迫ってくる感動が何もないのでした。

こんなのに休憩込みで3時間20分は長すぎ、10500円はもったいなく、実に退屈極まりなかったです。
笑いと言ったって、テレビのバラエティショウのレベルで、すぐに消えていく余韻のないモノだし
小さなエピソードを重ねながらも、かえって笑いの挿入にギクシャク感があって戸惑いました。
「急に唄い出すのも変だし、いきなり踊りだすのも。」と公言されている方の作品にしては
やはり「いわゆる」ミュージカル風にまとまり過ぎていましたヨ。
さてミュージカルナンバーはどうかと言うと、こちらも悪くはないけれど、
別に目新しい感じもナシでありました。

結局この舞台では、三谷氏は従来のコメディ路線を踏襲しつつ、自分にもなじみの役者サンを使って
「自分もこんなことが出来ちゃうよ」ということを示すだけになってしまったのではないでしょうか?
「観客から見えない所での物語」という切り口だけでも興味を引くのですから、
あえてミュージカルにしなくても、十分に楽しい舞台になったと思うのです。
だからこそ、「ミュージカルっぽくないミュージカルです」なんて言って欲しくないなァ。。
氏の作品は脚本を担当した映画「12人の優しい日本人」を観ただけだと思います。
「ラヂオの時間」も「古畑任三郎」も全く観たことはありません。
でも、とにかく、人気があることは確かなんでしょう。

出演者ではやはり「松たか子」ですね〜、このヒトには華があります。
恋愛に奔放なハープ奏者の役で、「従来のイメージを打破して」とか言われてた割りには
相変わらず上品な雰囲気でございました。
ファゴット奏者役&今回の音楽監督もした巨漢・北川潤氏は、「劇団四季」の出身、現「二期会」
だけあってさすがに立派な声量でおミゴト、他の歌唱力をカバーしていました。
それにひきかえ本業は何だか分からン川平慈英は、経験が邪魔をして(?!)ただ一人
他の役者とは浮いた存在のように、軽やかに飛び跳ね回っていたのが、目障りでした。

まあ、きっと、おそらく、今の世の中の「流行」に、既に自分も乗り切れなくなったことの
証明書をもらってきたんだと思って、もっと素直に楽しめれば良かったんでしょうね〜。