NODA MAP「カノン」
 Bunkamura シアターコクーン '00.4.11 (Update '00.4.20)



新作が発表されるたびに話題を集め、まだ内容も分からないのに チケットはすぐに売り切れる「NODA MAP」。
演劇に詳しくないワタクシメ、今回初めて観てみることにしました。
会場は先月に引き続き、またまた「シアターコクーン」。
約8割は女性客と見ました。

セットはシンプルそのもの。
床が斜めになり、左右は格子状の白い枠組みが天井まで達し、 奥には黒く塗られた、スライドする額縁、これと斜めの床の間は
人が見え隠れできるスペースがあります。
ここから人が出たり入ったりできるようになっています。

今回のテーマは、かつての学生運動が激しかった頃の青春群像。
「あさま山荘事件」と思われるエピソードが結構ありました。
あの鉄のボールが、ドーンと壁を突き破るシーンとか。
権力者側と反体制側、そしてその両方を行き来する純情な青年達、
そして猫。
最初は登場人物の関係が良く分からず、ただただ動き回る役者に
目が行ってしまいます。それでも、要所要所に補足的に説明が入るので、 だんだん筋書きが分かってきます。
言葉遊びを交えたり、ハッとさせる場面展開とか、その創作エネルギーあふれる世界に知らず知らずハマって行ってしまいました。
役者は誰もとても象徴的な人物像となっているようです。

カルメンを下敷きにしているという、盗賊の首領・沙金役の鈴木京香。
ム〜、やはりキレイな方ですね。セリフが意外に低音なんですね。
対する、沙金に恋をしつつ、盗賊の中に加わっていく元看守・太郎役に
唐沢唐明。サントリーモルツのCMみたいですね〜。
やはりちゃんと演技を積み重ねてきた俳優と思わせる存在感があります。
今回が初舞台の、NHK朝の連ドラ「天うらら」の主人公だった須藤理彩。
役柄にも助けられて、ハキハキとした通る声、元気な動作でこの一座に 溶け込んでいました。

大きな舞台装置の変化がない代わりに、斜めの床の下を使った演出とか 両サイドの白い枠組みを自由に使って、場面に変化をつけた美術も 素晴らしいと思いました。

野田秀樹ご本人も役者として出ており、「官」のシンボルをアクの強い キャラで演じていました。結構、小さいかたなんですね。
それにしても、2時間がアッという間に流れてしまう、スピード感。
抽象的な題材ながら、最後はドラクロアの絵の裏に隠れた沙金を太郎が銃で 撃ち殺してしまうという、カルメンばりのストーリー(野田氏いわく本家取り)で 無常感も頂点に達するという訳です。

舞台空間の全てを、優秀なスタッフと俳優を使って、自分の思いのままに 構築する野田秀樹。
やはり凡人ではない、というのが素直な感想でございます。